秋、菊の季節。
秋の東北で見かける袋詰めの菊の花。
わーきれい、でも観賞用ではありません。ポプリにするわけでもないのよ。
食用菊です。食べます♪
この紫色の食用菊は「もってのほか」といいます。
 ★食用菊についてはこちら→ウィキペディア
もってのほかは10月中旬から11月いっぱいくらいしか味わえない東北の秋の珍味。
菊と言えば、「菊の御紋」。
そんな崇高なものを食べるなんて「もってのほか」というわけです。

食用菊はこのほかに、主に黄色の花の食用菊があります。
それからお刺身のツマなどにつかう小菊も、あれも食用菊ですね。

黄色の食用菊はだいたい通年出回っています。
また東北には「干し菊」という、蒸した菊を焼き海苔みたいに薄く延ばして乾燥させたものもあり、年間を通し売られています。
しかし「もってのほか」は、旬を逃すとなかなか味わえない食用菊。

10月の仙台でみつけました。ラッキーでした。
もっての他に限らず、秋の東北へ行くと、うす紫や、黄色の食用菊が
こんなふうに袋や透明ケースに、ぎっちり詰まって売られています。


だから袋を開けると、ぼわっとでてくる。
菊ですから、菊の香りがしますよ。


これを1輪ずつガクのところからちぎります。食用菊だから改良されたのかな、
と思うほどにガクから花びらがほろっとはずれて、ちぎりやすいです。
ちぎったものを、お料理のトッピングにしてもおしゃれです。

しかし、食用菊のおいしい食べ方は火を通すこと(と私は思っている)。
ちぎった花びらを熱湯で2~3分ほど茹でます。
もってのほかも、黄色の菊もゆでても色は褪せません。むしろ鮮やかに仕上がります。
ざるにあげて、冷水でさっと洗って下ごしらえは出来上がり。
ゆであがりも菊の香りがふわっとたちのぼります。

酢のものにしていただくのが基本の味わい方、そして私はこれが一番好きな食べ方です。
天ぷらやおひたしでも。お漬物もあります。
寿司めしにまぜこむと、きれいなちらし寿司になります。

今回は、米酢 大さじ4、砂糖 大さじ2、しょう油 少々、水 50mlをあわせたものに、
ギュッと絞った、もってのほかを入れ、和えました。
酢をあわせると、もってのほかの紫色が色鮮やかになって本当にきれいです。

こうしていただく食用菊は、少し甘味があり、
しゃきしゃき、そりそりとした食感がここちよいです。
黄色の食用菊は、花びら一枚一枚がやわらかい感じ。
もってのほかは、花びらがぷりっとしてしゃきしゃき感が立っている感じです。
もりもりたべる料理でもありませんが、何やら健康効果もこのごろ研究され注目されているよう。
ともかくも食卓が華やかになるたべものです。

そもそも花を食べる、ということだけで楽しくなります。
西洋料理の世界でエディブルフラワーというたべられるお花たちがありますが、
それはそれできれいだし、華やかでいいのだけれど、
それが流行るずっと前から、
 ・・・奈良時代からとか江戸時代からとか諸説あるようですが
日本には(当たり前に)花をたべる食文化があったのです。
おもうだけで「東北万歳」という気持ちになるなあ♪

小菊ではない方の食用菊は、山形県が生産日本一。
でも岩手でも、宮城でも作られている、東北の秋の味覚です。

どうして食べられるようになったのか、などは調べてみたいところですが、
9月の重陽の節句でとりあげられるように、
菊は「長命、延命」の意味が込められた花であり、
アロマテラピー的には鎮静効果があったりしますね。
そしてなにより、東北の暗く寒い季節が始まるこれからの季節に、
菊の花の料理は食卓に、明るさや華やかさを運ぶ役割もはたしてきたのではないのかなあとも思うのです。

今回の「もってのほか」は10月の仙台の「仙台朝市」で買って帰ってきました。
1袋120円。安かったー、他で買うともうすこしします。

盛岡の「よ市」、「神子田(みこだ)の朝市」と同じく、はまってしまった
仙台朝市→http://www.sendaiasaichi.com/
朝市といっても一日中やっています。野菜、くだもの、魚…何でもそろっています。


閑話休題、仙台朝市に行く途中、彩雲をみました。

携帯で撮ったら真っ暗~なのですが。
太陽の周りに虹の輪がかかっていてとってもきれいでした。
こういうときにかぎって、周りで気づいている人が少なくて
(町の中で上向いて歩いてる人もそりゃあ少ないわね)
「見てー」と言いたくなるけど、そういうわけにもいかなくて、かなりもどかしかったです。