さて、今年も賢治祭の翌日から2日間は宮沢賢治学会定期大会です。
初日には第20回宮沢賢治賞・イーハトーブ賞の授賞式。
受賞されたみなさまおめでとうございます。

そして第21回宮沢賢治学会研究大会。
受賞者の方の講演や、研究発表などがくりひろげられます。
研究者も賢治ファンも学び、楽しめる場です。

今年も定期大会の参加者交流・懇親会のメニュー作りに関わらせていただきました。
(昨年の様子はこちら→ ★  )

今回のテーマは「セロ弾きのゴーシュのおいしい音楽会」
童話「セロ弾きのゴーシュ」の中に出てくる「おいしいもの」をとりあげました。


ゴーシュがすんでいるのは町はずれにある川ばたのこわれた水車小屋です。
そのまわりの小さな畑ではトマトや甘藍(キャベツ)が育っています。  
ゴーシュをたずねた猫は、その畑から「おみや」だと半分熟したトマトをゴーシュに届けます。
あるいはゴーシュは、狸をおどかしてやろうと、狸汁のはなしをしたり
(「狸汁というのはな、おまへのやうな狸をな、キャベジと塩とまぜてくたくたと煮て
おれさまの食ふやうにしたものだ」)、
野ねずみの親子には戸棚からパンを出したりしています。
しかしなによりこの物語のおいしいものは、ゴーシュの奏でるチェロの音色なのかもしれません。
・・・・・・そこで今回は音楽もごちそうにして楽しんでみることにしました。

メニュー作りを一緒に行い、当日の調理をしてくださったのは
北上パークホテルのKさん、Hさん、そして調理スタッフのみなさん。
いつもありがとうございます。

 ↑ みんなで記念撮影・・・あれれ、みんな見ている方向あちこち

Kさん、Hさんは岩手中を(!?)かけまわり
今回も岩手のおいしいものいろいろ取り揃えてくださいました。
そして当日の会場のテーブルの上には
五線紙をベースに、ネコも、ネズミも、カッコウも、タヌキもいて、
お料理たちが音楽をかなでています。


 ♪ 岩手の食材で物語を味わう

=トマトとキャベツ=
〇ゴーシュの畑のサラダ 
   ゴーシュはそこにたった一人ですんでゐて
   午前は小屋のまはりの小さな畑でトマトの枝をきったり
   甘藍(キャベジ)の虫をひろったりして・・・

忙しい一人暮らしのゴーシュは畑のトマトやキャベツをどうやってたべたでしょう。
丸のままかもしれませんが、今回はおいしいサラダに。

〇いろんなトマトたべくらべ
  (三毛猫は)ゴーシュの畑からとった半分熟したトマトを
  さも重さうに持って来てゴーシュの前におろして言いました。(以下、略)
  「これおみやです。たべてください」。」

岩手のトマトいろいろです。
生産者は遠野ファトリアさん、銀河農園さん
トマトの詳細についてはこちらネネムさんのブログ「イーハトーブ・ガーデン」を→ 
(ネネムさんリンクさせてくださいね)

=パン= 
  ゴーシュはセロを床へ置いて戸棚からパンを一つまみむしって
  野ねずみの前へ置きました。
 
〇雑穀と大地の恵みのパン

 あれ、どこかで見たような・・・と気付いていただいたらうれしいです。
 先日の会でもおいしくいただいた「銀の鳩」のパンです。
 ・・・関東にお住まいの方なら東銀座の「いわて銀河プラザ」で入手できますよ。

〇チェロのパンとゴーシュの仲間たちのパン
 当日、会場のテーブルの上には、
 大きなチェロがドン、と置かれていました。

 銀の鳩さんが作ってくれたみごとなチェロのパン
 そして物語に登場する動物たちのパン


******
  嘉十が野原に残していった栃の団子は、とちの実くらい。
  でも懇親会の栃の団子は「特別」です。
  今年も三朝の御舩さんが届けてくださいました。

〇栃のだんご

  のはらのまん中の めつけもの  すつこんすつこの 栃だんご
  栃のだんごは 結構だが  となりにいからだ ふんながす
  青じろ番兵は 気にかがる。
  青じろ番兵は ふんにやふにや
  吠えるもさないば 泣ぐもさない  痩せで長くて ぶちぶちで
  どごが口だが あだまだが  ひでりあがりの なめぐぢら。
   (「鹿踊りのはじまり」より)


♪ 岩手の食材で音楽を味わう・・・

=音符や音=
〇ピンチョス
  一口サイズの前菜。。形が「♪・音符」や「ト音記号」に似ているでしょう


〇音の出るたべものいろいろ
 
いぶりがっこ(秋田のタクアン)、南部せんべい、フエキャンデーなど
パリパリ、バリバリ、ピーピーと。
せっかく音が出るのですから小さな演奏会をしましょう
「トロイメライ」を「印度の虎狩」に!ということだったのですが・・・!!

=シューマンとドイツ=
  「トロイメライ、ロマチックシューマン作曲。」 
  猫は口を拭いて済まして云ひました。

シューマンはドイツの音楽家。
今年は生誕200年。
それでシューマンを祝ってドイツ料理を。

菊池牧場のドイツソーセージ
 岩手でこだわりのドイツソーセージを作っている農場です。
 無添加ソーセージというのは、
 私にとっては正直なところアタリハズレある食材なのですが、
 このソーセージおすすめです。 
 作っている方の情熱さえ感じられるソーセージなんです。
 花巻「おいものせなか」でも入手できますよ。

  
〇ザワークラウト
赤白おめでたいカラーの2色のザワークラウトです。

  
〇ソーセージとキャベツのスープ(写真撮り忘れ!  ああ・・・反省)

= 印度の虎狩=
  それから嵐のような勢いで「印度の虎狩」といふ譜を弾きはじめました。

〇カレー

 お話の中で猫が飛び上がって逃げていくほど刺激的な曲の
「印度の虎狩り」
インド=カレーは日本人特有の発想なのかもしれませんが、
スパイシーなカレーをたべると口の中も刺激的に。
今回はインドではなくてネパール(ネパリバザーロ)の
ベジタブルカレーのスパイスで作りました。
 
〇雑穀ごはん
 カレーには花巻の雑穀ごはん
  

=藤原嘉藤治さん=
賢治とチェロのエピソードにかかわっている賢治の親友・藤原嘉藤治さん
彼のふるさと紫波のおいしいものについては、
賢治・嘉藤治こだまの会の瀬川さんにお世話になりました。

〇ひっつみ
 
〇紫波町産 西洋ナシのコンポート


〇紫波町産 西洋ナシのフラン
 

=のみものいろいろ=
「セロ弾きのゴーシュ」 「賢治」「岩手」「花巻」「紫波」「ドイツ」「音楽」が
たのしめるのみものいろいろ

〇蔵粋(くらしっく)
福島県の小原酒造のモーツァルトを聴かせて醸している日本酒

〇岩手県大迫町のエーデルワイン「コンツエルト」
〇紫波フルーツパーク「自園自醸ワイン」
〇ドイツビール・盛岡の地ビール「ベアレン
〇見た目はビールだけど・・・ノンアルコールビール「イーハトーブ」


〇賢治ゆかりのお米陸羽132号で造った日本酒
 鷲の尾「陸羽132号」
〇「賢治のトマト」飲むトマト
〇キャベツでできた焼酎・キャベ酎

ゴーシュの畑のキャベツもお酒に変身!?

〇またたび酒
   猫もよろこぶ!?


〇グリンジュース
 2008年「賢治と光太郎」がテーマの懇親会メニューからのリクエスト。
 ゴーシュの畑のキャベツにつなげて。


岩手の、そして宮沢賢治の作品世界のおいしいもの
おなかいっぱい味わいました。

北上パークホテルの皆様
今年もおいしいものたくさんありがとうございました。

ご参加のみなさまありがとうございました。

ごちそうさまでした!!


***
来年は・・・また機会があったら
「注文の多い料理店」を食べてみたいなあと思ってます。
この作品にちなんだおいしいものを
ご存知の方、アイデアある方、ぜひ教えてくださいね。
どうぞよろしくお願いいたします!