今年は9月に花巻にでかけられず参加できなかったポラーノの広場in大沢温泉
過日少々ぼやきながらご報告したのですが ↓
http://bonjour-konogoro.blog.so-net.ne.jp/2013-09-27-1
けれども、今年もつめくさの灯りを消さぬように、
と大沢に集ったポラーノ団の呼びかけで
11月にポラーノの広場が福島県いわき市でくりひろげられることとなったのでした。


私は東京経由でおでかけです。
久々の東京駅は様変わり。

にょきにょきと生えたビルの間で東京駅は威厳を放っておりました。

かつてプラネタリウムのドームみたいだなと見上げていた
丸の内側の白々としたドームは

フランス菓子みたいに彩られていました(プリンにも見える)。

駅全体を耐震構造にしました・・・云々の解説コーナーには
レンガの壁がなにやらささやいる風でした。

上野に移動して久々に常磐線にのりました。
いわきにでかけるのは約10年ぶりです。

10年前は、草野心平記念館が講演会に呼んでくださり、賢治のたべもののことをお話するため
一人ででかけたのでした。それも私にとってはじめて賢治さんのことを人前で話すという機会で、
そんなこんなで、はじめて出かけるいわきに心細かったのです
(というと、いつもOさんは、たくさん食べてたよなーといいますが・・・ははは)。
10年後の今回は、その先でポラーノ団の仲間たちが待っている。
これだから生きているってすばらしい、なんて思ったくらいの10年後のうれしさよ。

湯本駅で降りて、

ポラーノの広場inいわき・・・「草野心平の旅」がはじまります。

到着したのは
詩人・草野心平さんも泊まったという旅館・神泉亭
http://www.tif.ne.jp/jp/spot/spot_disp.php?id=1760

集まったポラーノ団は7名。
いわきの男子2名、女子1名
京都の男子、北海道の女子、岩手の女子、兵庫の女子の各1名
全国津々浦々より集合です。

祝宴は囲炉裏端でお宿自慢のお狩り場料理
 

 

そしてなんといってもこのお部屋で大切なのはこの書
草野心平さん直筆の「石」

 雨にぬれて 独り 石がゐる 億年を蔵して にぶい光の もやの 中に


草野心平詩集では「石がゐた」なのです。
一字違うだけで印象が変わりますね。
そんな、いわきのOさんからの解説を聞きながら
ポラーノ団には心平さんのことばも今夜の宴のごちそうです。

神泉亭のお風呂は高質アルカリ炭酸泉と言うお湯とのこと
とろっとした泉質で、しっとりタイプの化粧水につかっているようでした。
お肌もつるつるな感じ。これもまたありがたや。


それから宴第2部は心平さんが泊まっていたというお部屋で。
宴がはじまったころ
神戸の友人から「楽天優勝」のメールがとどきました。ひろみちゃんありがとうー。
東北の地で祝えるうれしさよ。
Aさんご夫妻が持ってきてくださったケーキ、それから
いわきと岩手の日本酒、ハートの柄ラベルの美味なフランス赤ワインで再会を祝い
話は尽きず、夜は更けていきました。


翌朝、朝ごはんをモリモリ食べて出発。
まずは入口の大根畑に迎えられて

訪れたのは、草野心平記念文学館http://www.k-shimpei.jp/

エントランスのみ撮影可だったので数枚撮らせていただきました。
心平さんといえば、かえるの詩が有名ですが、ロビーには
ごびらっふくんも、


「Q」おたまじゃくしも泳いでいます。


ロビーつきあたりの一面ガラス張りの壁には、
心平さんの作品「猛烈な天」が浮かんでいます。


今回いわきから連れて帰った本たちは以下の通り。
心平記念館の過去の図録『高村光太郎・智恵子展』
そして
「みちのく春秋」の巻頭ページは
Oさん・・・・いわき市くらしの伝承郷館長・小野浩さんのインタビュー
震災後のいわきのこと、福島のこと、そして震災後の文学の力のことが
小野さんの言葉で語られています。

ちくま文庫『火の車板前帖』は
かつて草野心平さんが東京でやっていた居酒屋火の車の顛末記です。
実は古本を持っていますー。
『火の車板前帖』 橋本千代吉 昭和51年 文化出版局

どうしてこんな面白いものが再版されないのかともやもやしていたのですが、
文庫になっていたのですね。それも1998年に・・・何故知らなかったのか(恥ずかしや)。
著者はこのお店の板前だった橋本千代吉さん
心平や常連のお客さまたちを、少し離れた所から(そしてときには冷ややかに)眺めていたからこその
おもしろさにじみ出る1冊です。

「天」は特級酒、「耳」は二級酒、「白」は冷ややっこ、「百夜」はキャベツ入り牛乳スープ・・・・
などこのお店のメニュー名はすべて詩人の心平さんならではのセンスで名付けられています。
それからお酒が好きだった心平さんとお客様のやりとり、喧嘩なども時にすさまじく、時に滑稽。
居酒屋火の車の歌を作ったのもそうそうたるメンバー。
  ・・・おそらくこの本が「筑摩書房」から文庫化されたのも、
    当時のお客さまが関わっているからでしょう。



心平さんの生家は現在一般公開されています。


羅須地人協会を訪ねた時と似た心持ちになったのは
こんな囲炉裏があったからでしょうか。

生家の隣のお寺に向かいお墓参りもさせていただきました。
ここには心平さんゆかりの方たちも眠っておられ、Oさんの案内で
それぞれの方をお参りすることもできました。

あっという間にお昼です。
吉祥庵と言うお店でお蕎麦をいただきました。

そしてこちらでは、緑川さんと言う方から「ごびらっふの独白」の朗読のサプライズ
  ・・るてえる びる もれとりり がいく・・・
心平さんの紡いだかえる語は、どこかで聴いたことのあるような、ないような
なんだかわけはわからないけれど、「耳心地」の良い異国のリズムです。


ところで車での移動途中、仮設住宅の並ぶ敷地を通り過ぎたり、
ソーラーパネルの測定器もみかけました。

時間も空間も超越して集まったポラーノ団ですが、
今の福島との出会いもありました。

最後にたずねたのは
安斉重夫さんの「11月の空に遊ぶ 鉄の彫刻展」@ギャラリーいわき
安斉さんは第21回イーハトーブ賞奨励賞も受賞された彫刻家の方で、
賢治世界を鉄という素材を使って表現されておられます。

こういう集いの時はどうして時間が過ぎるのが早いのだろう。
いわき・ポラーノの広場もそろそろ終演の時間です。
私は最初に湯本駅でみなさんとお別れ。
そこからOさん運転の車から一人ひとり、空港や駅で降りて行ってお別れです。
Oさんいわく「銀河鉄道のようでした」  

だからというわけでもありませんが
安斉さんから頂いたポラーノ団への「勲章」ペンダント

「一とうしゃう、白金メタル。」より私たちには素晴らしい「銀河のメタル」です。
  ・・・次は合言葉を決めなくちゃあなりませんネ。

3時22分のスーパーひたちにのって上野―東京を経て
自宅についたのは夜の9時半を回っていました。
いわきは距離は遠いけれど、気持ちは近い場所になりました。

小野さん、安斉ご夫妻には大変お世話になりました。
そして全国津々浦々寄り集まったみなさま、お疲れさまでしたー。
次回ポラーノ団はどこでどんな風に集まるのでしょうか。
その日をたのしみにしています。

 
                      湯本は野口雨情ゆかりの場所でもあります

そうして3連休明け
みなさま旅のお疲れ出ませんように。

またお会いしましょうね。