毎年9月20日頃から始まる賢治ウイーク(と勝手に呼んでいます)で岩手に行ってきました。
21日の賢治祭、22,23日の宮沢賢治賞・イーハトーブ賞授賞式、宮澤賢治学会の総会と研究大会+αで寄り道などなど
盛りだくさん。
例年以上に、今年はよく食べてよくしゃべったなあ。

まずはこれに乗って仙台~盛岡によりみち

岩手県立美術館で10月15日まで開催中の
「花森安治の仕事」展を見に行きました。
http://www.ima.or.jp/exhibition/temporary/20170902_1015_ex02.html

昨年のNHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」のモチーフにもなった
雑誌「暮らしの手帳」と編集長の花森安治さんの仕事を紹介した企画展です。

神戸生まれの花森安治さん 
兵庫県民で岩手ファンの私は、盛岡でこの展示が観られることに、そんなところでも喜んでしまうのです。

戦時中の大政翼賛会での仕事、そして戦後、「暮らしの手帖」を中心に発信されたその仕事ぶりは
相反するようで、でも「庶民」に「伝える」というキーワードからながめると
それぞれの仕事に込められているものに、同じ匂いがありました。
「やさしさ」という言葉とはちょっと違っていて、
誰もまねできない花森さんから出ているみんなが「いいな」と感じるセンスみたいなもの。

それにしても花森さんが描く『暮らしの手帖』の表紙を飾る絵の細かさや時代ごとに変わっていくタッチなど
ひとつひとつながめると、「仕事」というのが多岐にわたっていて
やっぱり凄い人だなあと驚きと憧れの想いで、展示されているあれこれを観て廻りました。

花森さんの講演の「声」が聞こえてくるコーナーもありました。
そのトーンや、叫んでいる感じが、がんごおじさん。
以前、花森さんの本を読んだことがあるのですが、そこでも結構、吠えておられた!
あの活字をそのまま声で聞いた感じでした。


展示されている暮らしの手帳の表紙を飾った優しいタッチ絵とは正反対でありながら
いやいや、こういう厳しく熱い人だからこそ、繊細なんですよね。
そして最後の方の展示には
お孫さん(芦屋在住だったのですね)への花森おじいちゃんからの絵手紙。
その文面のたのしさ!・・・・個人的にはこのお手紙が一番好きでした。

どれもみんな花森さん。
「寄り添う」とか「優しい」とかありきたりなことばを越えたところにある
あらゆることに「挑んで」いた人、だったんだなあと、そんなことを思った展示でした。
おもしろかった。
『暮らしの手帖』や暮らしの手帖社からでている本、また読んでみよう。

さてお腹がすきました。
県立美術館のレストランでは花森安治展にちなんだランチがありました。
暮らしの手帳社から1970年代に出版された『おそうざいふう西洋料理』から
アレンジされたメニューです。

ものすごく後ろ髪をひかれたのですが、
いやいや、今回の盛岡行きには「森のみみずく」さんにおしえてもらった
肴町のお店に行く目的がもうひとつ。

それで美術館からバスに乗りました。
行き先は「盛岡バスセンター前」下車、肴町(さかなちょう)。

・・・つづく・・・