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「はいまつの・・・」でなくても緑茶のケーキ [お菓子の誘惑]


 フィリピンの椰子の実の砂糖と、緑茶パウダーで「緑茶のケーキ」を作りました。


 黒砂糖っぽいクセのある砂糖は、お茶の風味の和風のケーキ作りに合いそうだと思ったからです。
 緑茶パウダーを使うほうが、抹茶よりも焼いたあとも緑色がきれいに残っているように思います(今回は浅田茶塢(う)園の「有機たべるお茶」というものをつかいました)。
 卵白をあわ立てたところへ卵黄と砂糖、小麦粉を加え、最後に溶かしバターを入れて焼きます。トッピングに白ごまと黒ごまを使ったのですが、焼く前に降りかけるのをわすれ、焼いている途中、表面が面が乾いたころにかけたのでぱらぱらとこぼれてしまった・・・!!

 
 お茶の香りのするふわふわケーキのできあがり。
 黒砂糖のようなクセのある砂糖の甘味がおいしい隠し味になりましたよ。
 

 私が好きな宮沢賢治の詩のひとつに「山の晨明(しんめい)に関する童話風の構想」という作品があります。
 岩手の山・早池峰山(はやちねさん)の朝の様子を「巨きな菓子の塔」にたとえた詩です。
 ここに「はいまつの緑茶をつけたカステーラ」という一節があります。
 今回作ったケーキをみなさまにおすそわけができませんが、
 賢治さんの「おいしい」詩をどうぞお召し上がりください。

山の晨明に関する童話風の構想
一九二五、八、一一

つめたいゼラチンの霧もあるし
桃いろに燃える電気菓子もある
またはひまつの緑茶をつけたカステーラや
なめらかでやにっこい緑や茶いろの蛇紋岩
むかし風の金米糖でも
waveliteの牛酪でも
またこめつがは青いザラメでできてゐて
さきにはみんな大きな乾葡萄(レジン)がついている
みやまういきゃうの香料から
蜜やさまざまのエッセンス
そこには碧眼の蜂も顫へる
さうしてどうだ風が吹くと 風が吹くと
傾斜になったいちめんの釣鐘草(ブリューベル)の花に
かゞやかに かがやかに
またうつくしく露がきらめき
わたくしもどこかへ行ってしまひさうになる……
蒼く湛へるイーハトーボのこどもたち
みんなでいっしょにこの天上の飾られた食卓に着かうではないか
たのしく燃えてこの聖餐をとらうではないか
そんならわたくしもたしかに食ってゐるのかといふと
ぼくはさっきからこゝらのつめたく濃い霧のジェリーを
のどをならしてのんだり食ったりしてるのだ
ぼくはじっさい悪魔のやうにきれいなものなら岩でもなんでもたべるのだ
おまけにいまあすこの岩の格子から
まるで恐ろしくぎらぎら熔けた
黄金の輪宝(くるま)がのぼってくるか
それともそれが巨きな銀のラムプになって
白い雲の中をころがるかどっちにしても見ものなのだ
おゝ青く展がるイーハトーボのこどもたち
グリムやアンデルセンを読んでしまったら
じぶんでがまのはむばきを編み
経木の白い帽子を買って
この底なしの蒼い空気の淵に立つ
巨きな菓子の塔を攀ぢよう


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コメント 4

おいしそうですね^^ 
お菓子には目が無いんですが、
私、ホットケーキくらいしか作らないんですよね。( ´∀`)ゞ
たまには手作りしてみようかなぁ・・・
賢治さんの詩、絵本で見てみたいなぁ~
by (2008-01-20 15:27) 

ゆきねこ

noar*さん ありがとう
 ホットケーキは、私はバターたっぷりつけて、はちみつかメープルシロップをとろとろかけて食べるのが好きです。なんだか書いているだけでたべたくなってきてしまいました。
 賢治さんの詩の絵本は、今回ご紹介した作品は掲載されていませんが、黒井健さんの「雲の信号」などおすすめです。
 ご存知だったらごめんなさい。
by ゆきねこ (2008-01-21 00:18) 

イーハトーブの旅人

浅沼さん「このあだりはどごさ行っても賢治さんがいるがら」
ゆきねこさん「きのう、賢治さんに出会ってきましたよ」
旅人「私も若いころは度々出会いましたが、今朝の種山ヶ原散策で、久しぶりに出会えて楽しかった」
この幸せは、きっと4つばのクローバーのおかげだったのでしょう。
ゆきねこさん、楽しい会話ありがとう。ではまたいつか、どこかで。
by イーハトーブの旅人 (2015-08-20 11:31) 

ゆきねこ

イーハトーブの旅人さま
こちらの記事にも訪問いただきまして
ありがとうございます
今回遠くに眺めた早池峰山は
まさに「はいまつの緑茶をかけたカステーラ」の雰囲気でした。
ではまたいつか、どこかで!
by ゆきねこ (2015-08-22 11:50) 

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