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日本の野菜 フランスの野菜 [野菜たち]

 3月8日(金)京都で行われた日本料理アカデミー主催・公開ワークショップ「日本料理フェローシップ」の公開講座に参加しました。今年で3回目となるこの活動の、今年のテーマは「日本の野菜、フランスの野菜」です。
 京都で行われたフェローシップには、フランスで活躍する料理人3人と、パティシエ1名が日本料理店で1週間研修を行い、そこで感じたもの、受け止めたものを発表します。この4人が日本の野菜をつかってフランス料理を披露し、また同時に来日したフランスの野菜生産者1名が作った野菜で日本の料理人3名が、日本料理を披露するものでした。

 具体的な料理を紹介するのは著作権などがあるのかもわからないので、ここでは割愛しますが、日仏それぞれの料理人が、それぞれの野菜に対峙されていル様子に刺激を受けました。
 フランスの料理人は研修を受けた京都で出会った野菜の使い方がユニークでした。例えば、京人参でソースを作ったり、味噌を南仏のタプナードソース風にしたり、京野菜の漬物を、つけあわせという形でお皿の上に盛り付けられた絵画のような料理の中の一部にするなど、発想がおもしろい。
 日本の料理人も、薫り高い根セロリをトリュフと組み合わせ肉料理に使ったり、炭火で火を通す、揚げる、ゆでる、生とそれぞれの状態で野菜の個性をあえて残し味わうなど、こちらもなるほど、という調理法でフランス野菜が日本の味に生まれ変わっていきました。  
 日仏の料理人が相互に交流する中で、お互いの文化や食材に触れ、そこから生まれた料理です。試食の時間に味わった料理は、それぞれにおいしいものでした。日本の野菜はやわからく繊細、フランスの野菜はがっつりしたものを感じます。そして料理というものは、その土地でとれたものをおいしく味わうために先人の智慧がつまったものであるのだなあということにも、改めて私自身も気づかされました。
 
 デモンストレーションのあとには、料理人と、日仏双方の野菜生産者も交えたディスカッションです。
 日本からは石割農園さんから京野菜の紹介。たとえ形がゆがんでいても、料理に使いたくなる野菜を作りたいというおはなしには、野菜本来の味を求める情熱を感じます。

↑日本の野菜たち・・・きりっとしてクールな印象

 フランスの野菜生産者、ジョエル・チエボーさんは、パリ郊外で22haの畑で90種類・1万5千品種の野菜やハーブを栽培しており、星付きシェフがこぞって買いにくるというカリスマ農家だそうです。今日のためにフランスから運んできた65キロの野菜たちは、どれも美しい。
「私がこういう野菜を作りたいからだけではなく、料理人が求める野菜を<一緒>に作っていくと、こういう形になったんだ」と、農家と料理人、都市と農家(田舎)の共生を情熱をこめて、かつ、にこやかに語られる様子が印象的でした。
 チエボーさんの野菜は、黄かぶら、紫にんじん、白にんじんなど、初めて見る野菜も多く、フランスにでかけてその畑や採れたての野菜をたべてみたい!

↑フランスの野菜たち・・・華やかさを感じます

 日仏それぞれの野菜を表現するのによく出てきた言葉は、
 フランスの野菜に対しては「個性的」「香りが強い」「しっかしりている」「華やか」。
 日本の野菜については「繊細」「甘い」。
 そしてフランスの料理人の方が「日本料理はひとつひとつの野菜の特徴を生かした調理法が確立されていると思う」と話題をあげていました。だけど、四季を考え自然を大切にしている気持ちや、野菜を育て育む愛情や情熱は日仏の差はありません。
 それぞれの気候や土壌の違いから「地元ではぐくまれたおいしさ」という個性をもつ野菜を生かしていくこと。それが日本料理であり、フランス料理、またそれぞれの国で育まれてきた料理(法)なのですね。  
 実は昨年も参加した講座だったのですが、今回は特に、生産者と料理人のつながりが講座の中にあり、畑と皿の上の料理が日仏交流していたことに野菜の素晴らしさを改めて感じ取れたように思います。
 それぞれの料理人の料理に対する思い・哲学、食材に対するこだわりのようなものをうかがいながら、目の前でできあがっていく料理をながめ(試食も少し)、日本料理とは一体なんだろうかということを考えることのできるのは、どんな形にせよ「食」という事柄に関わっている一人として大変貴重な時間でした。


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コメント 4

collet

本当にそうですね~
日本の野菜はきりっとしてクールだけど、
フランスの野菜は華やかであり温もりも感じます。

わたしはベジタリアンではないけど、野菜が大好きです。
その場へ赴き、とれたての野菜をいただくことは1番のご馳走ですね!
ところで、セロリも大好きなのですが、根セロリって初めて聞きました。
写真の中にもありますか?
by collet (2008-02-14 14:33) 

ゆきねこ

colletさん 訪問ありがとうございます。
 colletさんも野菜好きなのですね。これからもどうぞよろしく!
 根セロリはスーパーや市場で手軽に売っているものではありませんが、フランス料理では良く使われる食材です。名前とおりセロリの味と香りです。別名カブラミツバともいうそうです。サラダやスープ、生クリームとともにピューレ状にしてソースのように使ったりします。写真では、フランスの野菜のにんじんの向こう側の、大きなかぶのようなものが根セロリです。
by ゆきねこ (2008-02-16 14:02) 

aya

ぎゃおーん!そんな楽しいイベントが京都であっただなんて!!!
誘ってくださいよ~。それも大和学園であったのですね。ブツブツ。(笑)
でもお陰さまで日本料理アカデミーの存在を知ることができました。
さっそくメルマガ、登録しました。
ありがとうございます!
by aya (2008-02-28 07:12) 

ゆきねこ

ayaさん いやいや、ごめんごめん!
 日本料理アカデミーは食に対して熱い思いをもって世界を舞台に活動されているところです。
 メルマガ登録できるの知らなかった(あれ?)。
 私も登録しよっと。教えてくれてありがとう。
by ゆきねこ (2008-03-14 22:36) 

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