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『屋根の上が好きな兄と私』 [宮沢賢治]

宮沢賢治に関する本の紹介です。
(栗原さんありがとうございました)

『屋根の上が好きな兄と私 ~宮沢賢治妹・岩田シゲ回想録』
  栗原 敦 監修  宮澤明裕 編 蒼丘書林 2017年12月
 詳細はこちら→http://www1.odn.ne.jp/sokyu/news.html#yane
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サブタイトルにもあるとおり、宮沢賢治の妹・岩田シゲさんの回想録です。

賢治さんは5人兄弟で長男です。
「永訣の朝」にも登場する妹のトシさんは2歳違い
シゲさんは5歳違いで次妹です。
その下に賢治と8歳違いの弟・清六さん
末っ子は11歳違いの妹・クニさん。

シゲさんがつづっておられる賢治や宮沢家に関するエピソードは
シゲさんが70を過ぎてから書きしるされたもので、最初は身近な親族だけが読むための冊子に収録されたものだったそうです。そしてこうして私たちが読めるようになるまでの詳しいいきさつは是非本を読んでいただきたいのですが、クニさんの賢治さんや家族を思う優しい想気持ちと、賢治さんを好きな色んな人たちがかかわってできたと事が伝わってくる1冊でもありました。

エピソードはもとより、文脈から行間からもシゲさんのお人柄がよく伝わってくるのです。
とても小さくてかわいい愛しい感じといいましょうか。
5歳年上の賢治さんは何でも知っているやさしい「お兄ちゃん」だったんだろうなあ。
そして「姉の死」という文に書かれた最後の4行はまるで今の世界のことも指しているようで、
現代に生きている私は、その人の世の変わらなさに、ちょっと情けなくなりました。

100ページに満たない本ですが、
これまで知らなかった賢治さんに関わるエピソードも多数あり、
中でも食べ物に関する話題が多く、賢治さんと食べ物について関心のある私にとっては
食べ物や当時の暮らしのことなどが大変参考になりました。

今期の芥川賞では『銀河鉄道の父』 直木賞では『おらおらでひとりいぐも』
賢治さんに関わる作品が受賞されていますが、
『銀河鉄道の父』の作者・門井慶喜さんが
2018年1月24日の毎日新聞夕刊に寄稿されていた記事の中にも
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このシゲさんの本のことが書かれてあり「あ、見つけた!」とばかりうれしくなったのです。


コメント(2) 
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佐々木伸行

「おらおらでひとりいぐも」を音読して、自分の言葉にまだ可逆性はまだ残っているか?どれぐらいか?試してみています。
 なつかしい言葉なのですが、状況記述の標準語、心象記述の方言、心のつぶやき、他人との対話のような東北弁、どこから声を使い分けて良いか迷います。
 花巻の雪の記事読みました、こちらの方、雪道で自転車に乗ったりサッサと歩いたりは、今は全く不可能で可逆性は無く成っています。冬は寄付き難く永く帰っていません、懐かしい風景です。
by 佐々木伸行 (2018-02-22 16:53) 

ゆきねこ

佐々木伸行さま ありがとうございます
「おらおらで・・・」私はまだ読んでいなくてお恥ずかしいのですが、盛岡のさわや書店や岩手大学ではサインつき色紙やポップ広告で飾られてにぎわっていました。方言をテーマに読み込んでいくと読後感が一層深くなりますね。

花巻の雪の多さには本当にびっくりしました。滞在した日が丁度大雪で、駐車場の車も数時間で雪に埋まっていましたよ。
by ゆきねこ (2018-02-23 17:29) 

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