『蜜蜂と遠雷』と「春と修羅」 [本と雑貨とそれから雑記]
本屋大賞 直木賞 W受賞の作品で気にはなっていたのです。
でも1ページ2段組みで500p以上の大作だしなあ。
横目でちらっと見ていたら、
兎座さんが「春と修羅」でてくるよといって貸してくれました。
『蜜蜂と遠雷』
恩田 陸 幻冬舎 2016年9月発行
ページを開いてみれば、おもしろくてお盆期間中に読了。『蜜蜂と遠雷』
恩田 陸 幻冬舎 2016年9月発行
・・・兎座さん http://uzasanpo.blog.so-net.ne.jp/ ありがとう!
ピアノコンクールが舞台の物語です。
ピアノといえばしばらく前に読んだ『羊と鋼の森』が、行間から繊細で美しいピアノの音色が聞こえてきた1冊でした。
『蜜蜂と遠雷』もピアノが影の主人公です。そして、『羊と・・・』とはまた違った音色が聞こえてきます(そりゃそうか)。
登場人物の奏者それぞれがいろんなテンションでピアノと向き合い奏でています。
その「奏でている」音色の違いが、活字で感じられたのがおもしろかった(そして凄い!)。
読み進んでいくと、登場人物それぞれに「がんばって」と応援したくなりました。
そして、きづけば私もコンサート会場に座っていました。
ちなみにここで私のいう音楽は、具体的に「これ」というのではなくて、
なんか頭の中で「こんな感じだろうなあ」という心地よいものが流れてくる、そんな感じなことです(わかる?)。
コンクールで使用する曲名、作曲者名も本の中に詳しく書かれています。
「1曲を除いて」すべて実在のクラシック曲です。
・・・この本に登場する音楽を集めたCDもでているとか?
「1曲」だけ「この作品の中でしか聴けない」曲があるんです。
作品中のコンクールために作中の人物・菱沼忠明氏が作曲した作品「春と修羅」。
物語はコンクールの奏者それぞれが、
宮沢賢治のエピソードや、「春と修羅」に描かれたものを想い、賢治がそこに込めたものは何だろうかと理解しようとしながら菱沼氏作曲の「春と修羅」に向き合っていきます。
ちなみにこれが宮沢賢治の『心象スケッチ 春と修羅』
これは私が持ってる復刻版 さわりすぎてちょっとボロボロ
『春と修羅』(書名)そして「春と修羅」(作品名)といえば
私はこの8月に花巻で夏季セミナー「シン・ゴジラ」と春と修羅の講演を聞いて
現代の「修羅」について色々考えをめぐらせていたところ。
→http://bonjour-konogoro.blog.so-net.ne.jp/2017-08-06
さらに「もし私だったら」と思い同時に頭の中で流れ出したのは、
一昨年、花巻・イーハトーブ館で聞いた舘野泉さんのコンサートでのピアノの音色でした。
→http://bonjour-konogoro.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07
『蜜蜂の遠雷』の行間を追っていくと「きっとこんな感じなんだろうなあ」とイメージが頭の中で流れだす菱沼作品「春と修羅」。
・・・・ついついそれは賢治が書いた「永訣の朝」の「天井のアイスクリーム」と同じ、決してこの世では味わえないもの、などと想いを馳せてしまいますが、この物語の中でしか聴くことのできないと思うほど「ほんたうの」オーケストラで聴いてみたくなります。
思いがけないところで「春と修羅」をたのしめました。
恩田陸さんも宮沢賢治ファンなのでしょうか? だったらうれしいなあ。
そしてこの記事を更新している本日2017年8月27日は宮沢賢治さん121歳のお誕生日!
おめでとうございます♪
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